かかりつけ医はどうやって選ぶ?選び方やメリット・付き合い方まで解説

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皆さんには、病気に関して何でも相談できて頼りになる「かかりつけ医」はいらっしゃいますか?
「かかりつけ医を探している」「かかりつけ医を変更したい」など、選び方や付き合い方についてお悩みの方は、ぜひ本記事をご覧ください。
今回は、かかりつけ医の選び方と上手な付き合い方について紹介します。

「かかりつけ医」とは?定義と役割

まず「かかりつけ医」とはどのような存在を指すのでしょうか。
かかりつけ医とは、健康管理や病気の治療に関する定期的な診察や相談ができる、身近な医療機関や医師を指します。
単に病気の治療をするだけでなく、病気予防のための生活改善アドバイスを含めた健康管理を担ってくれる存在です。

厚生労働省は、国民にかかりつけ医を持つことを推奨しており、以下の3条件に当てはまる医師をかかりつけ医として定義しています。

  • 健康に関することを何でも相談できる
  • 必要なときは専門の医師や医療機関を紹介してくれる
  • 身近で頼りになる医師

このように、かかりつけ医は病気の治療に加えて、幅広い役割を担います。
主な役割は以下の通りです。

日々の健康管理アドバイザー

過去の診療データや病歴などから、生活改善アドバイスを行います。
患者さんの健康状態を把握しているため、定期的な診察や健康相談を通じて個別化された治療計画を立てることが可能であり、患者の状態やニーズに合わせて最適な治療法やケアを提供できます。

大きな病院などとの連携役

専門的、また高度な医療などが必要になったとき、患者さんに合わせて紹介を行います。
かかりつけ医はこれまでの経過を把握しており、必要に応じて適切な医療サービスや専門家への紹介を行うことができます。
これは、緊急時にも迅速かつ適切な対応が可能であり、医療情報の共有や連絡がスムーズに行われるというメリットにもつながります。

介護保険にも重要な関わり

介護保険との関わりにおいても、かかりつけ医は欠かせない存在です。
要介護認定の申請時には「主治医意見書」の作成が必要であり、これはかかりつけ医が記載するのが一般的です。
また介護サービス利用中も、医師の指示に基づく訪問看護やリハビリなど、医療と介護の連携において重要な役割を果たします。
そのため、自分の状態をよく理解してくれる医師を選ぶことが、介護が必要になったときの安心にもつながるでしょう。

なぜ「かかりつけ医」が必要なの?

では、なぜ厚生労働省は国民にかかりつけ医を持つことを推奨しているのでしょうか。
最大のメリットは、病気を早期発見・早期治療できることです。
かかりつけ医は患者さんのことを長年にわたって診てくれるため、ちょっとした体調の変化にも気がついてもらいやすくなります。
かかりつけ医は、いつもの患者さんに「いつもと違う」と感じたら、検査をすすめたり専門医を紹介したりできるので、早期発見・早期治療につながりやすくなります。

また早期発見・早期治療には、さまざまなメリットがあります。

  • 治療しやすい、病気が治りやすい
  • 患者さんの体への負担と経済的負担が小さくて済む
  • 国などの医療費が安く済む

このように、早期発見・早期治療は「いいことづくめ」と言えるでしょう。
さらに早期発見・早期治療以外にも、かかりつけ医を持つメリットは数多くあります。

  • 患者の状態をよく知っているからこそ的確な診断をしてもらえる
  • 適切なアドバイスをもらえる
  • ほかの医療機関の紹介など、適切な判断をしてもらえる
  • 身近な存在ゆえ、些細なことでも相談できる
  • 家族の健康についても相談できる

かかりつけ医がいるのといないのとでは、安心感が大きく異なります。
これらのメリットを考えると「かかりつけ医を持たない理由はない」と感じるのではないでしょうか。

「かかりつけ医」選びの基本的な考え方

「かかりつけ医を持つ」と聞くと、申し込みや契約が必要だと誤解される方もいらっしゃいますが、そのようなものはありません。
近所のクリニックや病院に出向いて医師に「かかりつけ医になってください」と言う必要もありません。
「かかりつけ医」の申請や契約のようなものもありませんし「かかりつけ医」としての費用や料金もありません。

では、どうやってかかりつけ医を選べばよいのでしょうか。
厚生労働省は、かかりつけ医は自分で選択できるとしています。
つまり、自分が「この先生をかかりつけ医にしよう」と思えば、その医師が自分のかかりつけ医になるということです。

また、厚生労働省は選び方のポイントとして、以下の点を挙げています。

  • 日常生活における健康の相談ができる医師を選ぶ
  • 体調が悪いときにまず相談できる医師を選ぶ

これらの点を踏まえ、自分にとって最も適した医師を選ぶことが大切です。

「かかりつけ医」の上手な選び方

かかりつけ医を選ぶ際には、いくつかの具体的なポイントに注意しましょう。
第一に、自分のニーズや健康状態に合った医師を選ぶことが重要です。
これには、医師の専門性や経験、そしてコミュニケーション能力などが考慮されます。
これらの要素を総合的に考慮して、自分にとって最適なかかりつけ医を選ぶことが重要です。

医師との相性と信頼関係

かかりつけ医とは、健康上の悩みや症状を話しやすい関係を築くことが大切です。
そのため、医師との相性や信頼関係も重要となります。
初回の診察や面談を通じて医師との相性を確認することが重要です。
医師も患者も人間同士、相性のいいお医者さんを選びましょう。

相性や信頼関係を確認するための具体的なポイントとして、以下の点に注目してみましょう。

  • 医師の診察姿勢
    • 訴えをきちんときいてくれるか
    • 親身になって話を聞いてくれるか
    • 質問に対し納得のいく答えが返ってくるか
  • 病気や治療の説明
    • 丁寧に説明してくれるか
    • 病状をわかりやすく説明してくれるか
    • 専門用語をわかりやすく説明してくれるか
    • 医師の診断や今後の治療方針などを理解できるよう話してくれるか
    • 副作用の説明まで行ってくれるか
  • 医療に関する質問や不安
    • 医療に関する質問や不安を遠慮せずに相談できるか
    • 自分が感じている症状を伝えやすいか
    • 自分の健康状態を相談しやすいか
    • 分からないことは率直に質問できるか?

患者への配慮なども考慮に入れるべきです。
どうしてもウマが合わない、信頼できないと思ったら、転院することは患者の自由です。

医療機関の利便性や体制

かかりつけ医が所属する医療機関の所在地や診療時間をはじめ、施設の評判や設備・サポート体制なども検討材料となります。

近隣の医師が理想的です。
自宅近くなら、治療や日々の健康相談もしやすく、通院にも便利です。
特に子どもやお年寄りがいる場合や、生活習慣病など慢性の病気で長期間受診が必要な場合に、通院しやすいことは重要なポイントとなります。
お住まいの地域や職場近くから、かかりつけ医を選びましょう。

また小規模開業医は、曜日で担当医が変わる心配が少ないです。
大きな病院では曜日ごとに対応する医師が異なっていたり、特定の日時にしか診察を受け付けていない場合もあります。
そのような場合でも迅速に対応できるよう、他のクリニックとの連携を強化している医療機関であれば、紹介や転院もスムーズに行えるでしょう。

医師の専門性や家庭環境との関わり

かかりつけ医は何科の医師でもよく、かかりつけ医が何人いてもよい、と厚生労働省はしています。
また「迷ったら内科医を検討する」という考えも、間違いではありません。
内科医は初期の段階でいろんな病気を総合的に診察できるため「どこが痛い・ここが気になる」といったことを相談しやすいでしょう。

また、内科には「患者を専門医につなぐ」という重要な役割もあります。
診断がつかない患者さんも診るという内科の方針から、患者さんが「困ったらとりあえず内科にかかる」という行動は間違っていないと言えるでしょう。
そして、必要に応じて専門医につなぐことが明確にされています。
体調が悪いときにまず相談できる医師を選ぶとよいという選び方に、内科医はまさに当てはまるでしょう。

ただし「内科でなければならない」という訳ではなく、内科のかかりつけ医以外に、自分がよくかかる医療科の医師をかかりつけ医に加えても問題ありません。
例えば、循環器内科医と眼科医を自分のかかりつけ医とみなしてもよい、という意味になります。
高血圧の治療で循環器内科に通っている人が、目の具合が悪くなって眼科に通うことになれば、それぞれがその分野の「かかりつけ医」となることもあり得ます。

また、家庭環境に合う医師を選ぶことも大切です。
高齢者がいる場合は、老人保健施設や老人ホームなどとのつながりのある医師が安心なケースもあります。
女性の場合は、産婦人科医と生涯を通して関わることが多いため、信頼のおける産婦人科医がかかりつけ医にいると安心です。

かかりつけ医を探す際の情報収集方法

自分に合うかかりつけ医を見つけるために、独自に情報収集することも有効です。

  • インターネット
  • 口コミ情報
  • 地域の医師会への問い合わせ
  • 市区町村ホームページや広報誌地域医師会のホームページ
  • 厚生労働省が提供する医師情報

かかりつけ医を見つけるには、自分に合った医師を選ぶための情報収集が大切です。
手軽な方法として、インターネットや口コミを活用して、診療方針や対応の評判などを調べる方法があります。
また地域の医師会に問い合わせることで、信頼できる医師を紹介してもらえることもあります。
市区町村のホームページや広報誌・地域医師会のウェブサイトでは、地元の医療機関の情報が掲載されており参考になります。
さらに、厚生労働省が提供する「医療機関情報提供制度(医療情報ネット)」では、医師の資格や診療内容などを確認できます。
さまざまな手段を使い、納得のいくかかりつけ医を選ぶことが大切です。

参考:厚生労働省 「医療情報ネット(ナビイ)

かかりつけ医との上手な付き合い方

かかりつけ医が見つかったら、その医師と上手に付き合っていくことが大切です。
お互いに尊重し、相手の意見や立場を理解することで、良好な関係を築くことができます。
身近で頼りになる「かかりつけ医」に、健康について何でも相談することが大切です。

密なコミュニケーション

医師からの説明に真剣に耳を傾けることは非常に重要です。
かかりつけ医の指示や処方箋に従うことは、治療やケアの成功に欠かせません。
医師からの説明やアドバイスに真剣に耳を傾け、理解しようとする姿勢が必要です。
処方薬の服用方法や生活習慣の改善など、医師からの指導に従うことで治療効果を最大化することができます。

また医療に関する質問や不安を、遠慮せずに相談することも大切です。
症状や気になる体調の変化について伝えましょう。
医師の話す用語・薬・検査などの疑問点は率直に質問し、納得してから治療方針を決めることが大切です。
効果的な治療のためにも、医師とよく話し合いましょう。

日常的な健康管理と予防

健康管理や予防策を受け入れる姿勢も重要です。
かかりつけ医は健康状態を定期的にモニタリングし、必要な健康相談や予防接種などを提案します。
これらのサービスを積極的に利用することで、健康状態の維持や疾病の予防に役立ちます。

また患者側も、生活習慣病の予防や健康相談などを日頃から行うようにしましょう。

受診時の準備と心構え

かかりつけ医を受診する際は、患者側の準備や心構えも大切です。
以下のような点に注意し、お互いにとって負担とならないよう心がけましょう。

症状は正確に整理して伝える

診察時には、症状を正確に医師へ伝える準備が必要です。
「いつから」「どこが」「どのように」不調なのかを整理しておきましょう。
症状を過剰に伝えたり、逆に軽視して伝えると、正しい診断の妨げになります。
自分が感じていることを素直に、わかりやすく伝えることが、より的確な治療につながります。

診察を受けやすい服装を選ぶ

診察では体の一部を見せることもあるため、脱ぎやすい服装を心がけましょう。
またメイクやマニキュア・アクセサリー類は、診察や検査の妨げになる場合があります。
特に手指や顔の状態を診る場合には、自然な状態で臨むことが大切です。

保険証を忘れずに持参する

医療機関を受診する際には、必ず保険証を持参しましょう。
忘れると、診療費が全額自己負担になったり、後からの手続きが複雑になることもあります。
また使用期限についても、事前に確認しておくと安心です。

インフォームドコンセントを理解する

インフォームドコンセントとは、医師の説明をしっかり聞き、内容を理解したうえで治療方法に同意することです。
自分の身体のことを他人任せにせず、内容に納得して治療を進めることで、安心して医療を受けることができます。
かかりつけ医に全てを任せるのではなく、よく相談しながら、健康診断や生活習慣の見直しにも積極的に取り組みましょう。

専門医への紹介はどんな時に行われる?

紹介状は本来、医師が患者の病状を的確に判断して、別の医療機関での治療が必要である時、そのしかるべき専門医あてに書かれるものです。
基本的に紹介を受けた医師はその紹介した医師に対して、その患者の病状やその後の治療方針を伝えるなどの連絡をとります。
主に以下のようなケースで、専門医への紹介が行われます。

  • 専門外の病気が疑われる場合
  • 入院設備のない医療機関で、入院が必要と判断された場合
  • より高度な治療が必要と判断された場合

一方、患者の側から紹介状がもらいたいとき、例えば自分自身でどうも病状がはかばかしくない・好転しないと感じ、大学病院などの総合病院の医師に診察を受けたいときには、従来かかっていた医師に紹介状を出してもらうことができます。

この場合、まずその医師とこれまでの病状の疑問点などを話し合い、友好的な関係を維持したうえで紹介状を出してもらうようにしましょう。
紹介状など他の医療機関への連絡を快く引き受けてくれるかも、良いかかりつけ医を探す基準の一つです。

具体的なかかりつけ医の見つけ方・探し方

かかりつけ医をどのように選ぶとよいか、そして具体的にどのように見つけ、探せばよいのか、具体的な方法を改めて整理しましょう。

前述したように、かかりつけ医は自分で選択できます。
自分が「この先生をかかりつけ医にしよう」と思えば、その医師が自分のかかりつけ医になります。
探し方にはいくつかの方法があります。

国土交通省の医療情報ネットを活用する

厚生労働省は、上手な医療のかかり方に関する情報を発信しており「医療情報ネット(ナビイ)」の活用を推奨しています。
医療情報ネット(ナビイ)は、患者さんによる医療機関の適切な選択を支援することを目的として医療機能情報提供制度(医療情報ネット)を運用しています。

ナビイを活用すると、医療機関の診療科目や診療日、診療時間、対応可能な疾患・治療内容等の医療機関の詳細がわかります。
これにより、身近な医療機関・かかりつけ医を見つける一助となります。
厚生労働省ホームページから各都道府県のナビイを確認できます。

参考:厚生労働省 「医療情報ネット(ナビイ)

身近な機会をきっかけとする

健康診断や予防接種などの機会に身近な医療機関に行くことが「かかりつけ医」を見つけるきっかけにもなります。

健診・検診・健康診断

健康で医療機関との接点が少ないと感じる人もいるかもしれません。
そのような場合でも、職場の産業医との面談や健康診断をきっかけとした医療機関の受診を通して、医師と話してみることも一つの方法です。

予防接種

予防接種を受ける際に、医療機関を訪れる機会も活用できます。
院内の雰囲気や対応の様子もわかるため、かかりつけ医選びにも有効と言えるでしょう。

家族の受診

ご家族の受診をきっかけとして、その医療機関でご自身のことも相談してみることで、かかりつけ医を見つけられることもあります。

子どもにとってのかかりつけ医

子どもにとっては、健診や予防接種の機会を通してかかりつけ医を見つけるきっかけになります。
就学児にとっては学校医も身近な医師の一人です。
また、妊娠中から小児科医師や小児科医療機関を知っておくことも、産後間もなくからの乳幼児のかかりつけ医を見つけやすくなり安心です。

地域情報を活用する

お住まいの地域の情報を活用することも有効です。

  • お住まいの地域の市区町村ホームページや広報誌
  • お住まいの地域医師会のホームページ
  • 保健センター等の健康情報や広報誌

市区町村のホームページや医師会のホームページでは、医療機関の情報やかかりつけ医についての参考となる情報を掲載していることも多く見られます。
これらの情報を活用することで、みなさまのお住まいの地域に根ざしたかかりつけ医を見つける一助となるはずです。

まとめ

今回の記事では、かかりつけ医の上手な選び方と上手な付き合い方についてご紹介しました。

かかりつけ医とは、健康管理や病気の治療に関する相談ができる、身近な医療機関や医師のことです。
厚生労働省は「健康に関することを何でも相談でき」「必要な時は専門医を紹介し」「身近で頼りになる」医師と定義しています。

かかりつけ医を持つことには多くのメリットがあり、特に病気の早期発見・早期治療につながることが最大のメリットです。
その他、的確な診断や適切なアドバイス、他の医療機関への適切な紹介、そして安心感などが挙げられます。

かかりつけ医を選ぶうえで、まず自分で選択できるという基本的な考え方を理解し、医師との相性・医療機関の所在地や診療時間・医師の専門性などを総合的に考慮することが重要です。
特に、話しやすい・説明がわかりやすい・安心できるといったコミュニケーションがとりやすい医師を選ぶことが大切です。

またかかりつけ医と上手に付き合うには、医師からの説明に真剣に耳を傾け、健康管理や予防策を受け入れ、医療に関する質問や不安を遠慮せずに相談することも重要です。
受診時には症状をきちんと伝え、分からないことは質問し、インフォームドコンセントに基づいて治療に積極的に参加する姿勢が大切です。

かかりつけ医を持つことで、病気の時だけでなく日頃の健康管理においても安心を手に入れられるため、現状や相性などを考慮しながら、ご自身にとっての「かかりつけ医」を見つけましょう。

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