おひとりさま終活への不安とは?準備すべきものや手続きなども解説

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近年「終活」という言葉を耳にする機会が増えました。
終活とは、自身の人生の終わりに向けて行うさまざまな準備を指し、具体的には、財産の整理・葬儀やお墓の準備・医療や介護に関する希望の表明などが含まれます。
人生の最期を自分らしく、そして残される人々に安心して迎えてもらうためにも、終活は非常に重要なプロセスであると言えます。

また身寄りがなく、自身の死後を託す人がいない「おひとりさま」の終活に「興味がある」と回答した人は7割以上にも上ります。
しかし「実際に終活の準備を進めている」という人は、全体の2割弱にとどまっており、多くの人が終活に関心を持ちつつも、準備は進んでいないという現状があります。

では、なぜ終活は思うように進まないのでしょうか。
その背景には、多くの人が終活に対して抱える「不安」が存在します。
実際に、終活に興味はあるが準備していない理由として「具体的に何をすべきかわからない」「誰に何を頼むかを具体的に決められない」「自分の死後の手続きを依頼できる人物がいない」といった回答が挙げられています。
このような具体的な不安が、終活への最初の一歩をためらわせる大きな要因となっているのです。

おひとりさま終活の具体的な不安とは?

終活について、家族や友人と話すことはあっても、具体的な内容についてはご存じない方も少なくありません。
では実際におひとりさま終活をするなかで、どのような不安を感じる方が多いのかについて紹介します。

おひとりさま終活の具体的な不安:何から始めれば良いか分からない

終活に興味はあっても「何を、どこから始めれば良いのか分からない」という戸惑いは、多くの人に共通する不安です。
終活は単に遺言を書くことだけではなく、財産整理や葬儀・お墓の準備、医療・介護の意思決定、生前整理など多岐にわたるため、全体像を把握しにくい点が特徴です。
情報過多の時代においても「自分にとって何が必要なのか」が見えにくいため、準備が一歩も進まないまま不安ばかりが募ってしまうケースも少なくありません。

おひとりさま終活の具体的な不安:頼れる人がいない

「自分が亡くなった後、誰が手続きをしてくれるのか分からない」という不安も、終活でよく挙げられます。特におひとりさまや配偶者と死別した「没イチ」の場合、家族や親族に頼れないことが多く、遺言の執行や葬儀の手配、遺品整理といった死後の事務処理を誰に依頼すべきか分からず悩む人が増えています。仮に家族がいても、希望の伝え方や役割分担について決められないケースもあります。エンディングノートへの記載や信頼できる専門家への委任など、早い段階で「死後の担い手」を明確にしておくことが、周囲への負担を減らし、自分自身の安心にもつながります。

おひとりさま終活の具体的な不安:生前整理が進まない

長年の暮らしの中で増えた家具や衣類、思い出の品々をどう整理すべきかも、多くの人が直面する課題です。単なる物理的な作業ではなく、思い出と向き合う精神的な負担も大きいため、「生前整理」は終活の中でも難しい部分とされています。「まだ使えるから」「捨てるのがもったいない」といった感情から、整理がなかなか進まず、気がつけば不安だけが残るという状況に陥ることも。家族に迷惑をかけたくないと考えるなら、自分の意思で少しずつ整理を進めることが重要です。

おひとりさま終活の具体的な不安:葬儀・お墓・医療に関する費用と意思決定の不安

自分の希望通りの葬儀やお墓を準備できるかどうか、また終末期にどのような医療・介護を受けたいかといった意思決定も、多くの不安を生む要因です。特に経済的な制約がある場合、理想と現実のギャップに悩む人が少なくありません。また、「延命治療を望むか」「認知症になったらどうするか」といった判断は、自分でも答えが出しにくく、医療指示書を書くことに対して抵抗を感じる人も多いのが現状です。実際に、老後の心配として「認知症」「病気・ケガ」「貯え不足」などが上位に挙げられており、医療・介護とお金の不安は切り離せません。早めに自分の希望をまとめておくことが、安心した老後につながります。

おひとりさま終活の具体的な不安:ひとりで最期を迎えることへの恐れ

終活における最も根本的な不安のひとつは、「ひとりで最期を迎えるかもしれない」という孤独感です。特に現在は夫婦二人暮らしであっても、将来的にどちらかが先に旅立てば、残された人は「おひとりさま」となります。鎌倉新書の調査によると、こうした将来の孤独に対して不安を感じている人は45.7%、予備軍にいたっては56.8%にも上ります。また、終活は自分の「死」と正面から向き合う作業であるため、そのこと自体に恐れを感じる人も多く、エンディングノートを書くことを避けてしまう傾向もあります。孤独や死への恐れを和らげるには、早い段階で心の整理を進め、信頼できる人や専門家と話し合うことが大切です。

おひとりさま終活の不安はどう解消すべき?

終活におけるさまざまな不安は、適切に向き合い準備を進めることで解消または軽減することが可能です。
具体的に、以下のような行動を起こすことで、徐々に行うべき行動が可視化できるでしょう。

漠然とした不安は「書き出す」ことで可視化する

終活への不安は、多くの場合「漠然としていて正体が分からない」ことが大きな原因です。
何に対して不安を感じているのかを明確にするためには、まず頭の中にある思いを紙に書き出してみるのが効果的です。
例えば「誰に何を託すべきか分からない」「お金が足りるか心配」「葬儀をどうしたらいいのか分からない」といった具体的な不安を可視化することで、気持ちが整理され対処の方向性が見えてきます。
不安の原因が明確になると、それぞれに対する解決策を計画として立てることができます。
まずは心の中のもやもやを外に出し可視化することが、終活の第一歩となるでしょう。

終活は「より良く生きる」ための計画という意識を持つ

終活というと「死に向けた準備」というネガティブな印象を持つ人も多いでしょう。
しかし本来の終活の目的は「自分らしい最期を迎えるための準備」であると同時に「これからの人生をより豊かに生きるためのプランニング」でもあります。
終活を通じて、これまでの人生を振り返り、自分の価値観や本当に大切にしたいものを明確にすることで、限りある時間をどう使うかを前向きに考えることができます。
後悔のない人生を送るために、終活をポジティブな活動として捉え、今できる準備に取り組むことが、不安の軽減にもつながります。

不安をひとりで抱え込まない

終活に関する悩みや不安は、ひとりで抱え込まず、信頼できる人に話してみることが大切です。
特に「おひとりさま」の場合、死後の手続きや意思の伝達に不安を感じる方が多く見られます。
そのような場合は、まず家族や友人など身近な人に相談してみましょう。
終活は一人で進めるものではなく、周囲と支え合いながら行うものです。
不安な気持ちを口に出すだけでも、気持ちが軽くなることがあります。
さらに法的な部分や手続きが必要なものに関しては、弁護士や司法書士などに相談することで、より明確に不安を解消できるでしょう。

終活を「元気なうち」に始めるべき理由

終活は、体力や判断力が十分にある「元気なうち」に始めるのが理想です。
なぜなら、病気や認知症などで判断能力が低下してからでは、自分の意思を正確に伝えることが難しくなるためです。
今ならできることも、将来的には誰かに頼らなければならない可能性もあります。
「そのうちやろう」と思って先延ばしにしていると、突然の体調悪化や事故などで、望んでいた終活が実現できないリスクもあります。
元気なうちに終活を進めることで、自分らしい選択ができ、必要な準備もスムーズに整えることができます。
人生の最終段階を安心して迎えるために、先手を打って準備することが、将来の自分や周囲への大きな助けとなるのです。

「エンディングノート」を活用しよう

終活の不安を整理するための有効なツールのひとつが「エンディングノート」です。
これは、自分の思いや希望、資産情報などを記録するもので、自身の意思を周囲に伝えるための手段となります。
エンディングノートには、以下のような内容を記入しておきましょう。

基本情報

  • 氏名(ふりがな)
  • 生年月日・性別
  • 住所・電話番号・メールアドレス
  • 本籍地
  • マイナンバー

緊急連絡先・家族構成

  • 親族の氏名・関係・連絡先
  • 友人・知人の連絡先
  • 担当の医師や介護施設の連絡先

医療・介護に関する希望

  • 延命治療の希望(有無)
  • 臓器提供の意思表示
  • 尊厳死に関する意志
  • 介護が必要になった場合の希望(施設/在宅など)

財産・相続に関する情報

  • 銀行口座の情報(銀行名・支店名・口座番号)
  • クレジットカード・ローン情報
  • 不動産の有無・所在・登記情報
  • 株・投資・保険の契約内容
  • 借金・保証人の有無
  • 遺言書の有無・保管場所

葬儀・お墓に関する希望

  • 葬儀の形式(宗教・無宗教など)
  • 規模(家族葬・一般葬など)
  • 葬儀社・お坊さんなどの希望
  • お墓の場所・納骨の希望
  • 遺影に使いたい写真の指定

デジタル情報

  • SNSのアカウント情報
  • メールアカウント
  • オンラインサービスのID・パスワード
  • サブスクリプション契約情報(解約の必要あり)

大切な人へのメッセージ

  • 家族や友人への感謝や伝えたい思い
  • 許したい・許してほしいこと
  • 思い出や伝え残したい出来事

その他

  • ペットの飼育・引き取りについて
  • 趣味やコレクションの処分方法
  • 生前整理に関する希望(遺品の処分など)
  • 自分史や人生の振り返り

必要な項目だけでも構いませんし、思いついたときに書き足していく形でも大丈夫です。
エンディングノートには法的効力はありませんが、あなたの意思を周囲に伝える大切な手段です。
まず書き始めることが、何より大切です。

まとめ

終活は、人生の終わりへの準備という側面だけでなく、終活を通じて自身の価値観・希望・夢を明確にする機会でもあります。
最期にどのような感情を得たいのかを考え、後悔や未練を残さず、穏やかで満足した最期を迎えるための準備 こそが、終活の本質と言えるでしょう。

終活は「残された人に迷惑をかけない」という側面が強調されがちですが、本来は自身の幸せや、より良く生きるためのプランニングです。
不安を感じるのは自然なことですが、その不安を書き出し、原因を明確にしながら一歩ずつ対処することで、不安は解消されていきます。

終活は珍しいことではなく、誰もが経験しうることです。
20代・30代といった早い時期から準備を始めても全く問題ありません。
一人で不安を抱え込まず、信頼できる家族や友人、そして必要に応じて専門家の助けを借りながら、自分らしい終活を進めていくことが、未来の人生そして最期をより豊かなものにする鍵となるでしょう。

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